まさつぐ法律事務所
コラム


(2008.08.28)
■ 生涯一弁護士(4)(訴訟において地の利を得ることが大切)    
 

  例えば、A(京都市在住)が、B(東京都在住)の者に対して、貸金請求の場合、Aは京都地方裁判所(債権者の住所地)、東京地方裁判所(債務者の住所地)のいずれかを選んで訴訟を起せます。
 京都地方裁判所の方が弁護士との連絡も密に出来るし、東京まで行く時間・経費を節約出来ます。現在は電話会議もあって、Bの代理人は東京の自分の事務所にいて、Aの代理人は京都地方裁判所へ出頭し、裁判官がBの代理人に電話して手続を進めます。しかし、最低1回か2回は、Bの代理人は京都地方裁判所へ出席しなければなりません。私は、Aの代理人として、Bに対し、訴え提起予告書を出し、京都地方裁判所へ貸金請求することを明かにしました。すると、その翌日に、BはAに対し、貸してある自動車を返せという訴訟を東京地方裁判所に先に提起したので、この訴訟でA(自動車を返さねばならない債務者)、B(自動車を返してもらう債権者)ですから東京地方裁判所でも受付けます。ところが、Aが提起する貸金訴訟とBが提起する自動車返還請求は関連していて同時に解決をつける必要がありました。 そこで、2つの事件を京都地方裁判所でやるのか、東京地方裁判所でやるのかを移送の問題として、2週間程、裁判所や相手方に主張書面や証拠資料を送った結果、東京地方裁判所は、Bの提起した自動車返還の事件を京都地方裁判所へ移送する決定を下しました。これにより、Aは本訴(貸金請求・自動車返還請求)についても有利になったことは間違いありません。
 往々にして、大阪の弁護士が大阪地方裁判所へ提起出来る訴訟を、わざわざ京都地方裁判所へ提起している場合があります。時間と経費の無駄使いでないかと思う時もあります。

弁護士  加 地   和


(2008.08.28)
■ 生涯一弁護士(5)(一物三価の交通事故保険金)   

   一物一価(同じ物には同じ一つの価格)が経済原則であるが、交通事故保険金の示談金は、私が見聞している範囲では交渉相手によって3通りの価額がある。
 交通事故(傷害)の場合の示談
@治療費
A交通費
B入院雑費
C物損分
D働けなかった時の給料分
E傷害による慰藉料
F後遺症(自賠責分)
G後遺症による給料損
H後遺症による慰藉料
I弁護士費用
以上の項目の金額を計算して、損害賠償額を決めます。
 
(1) 交渉が、被害者対加害者の場合、任意保険は保険会社が示談を担当することになっているので、加害者と交渉することはほとんどない。
(2) 被害者と保険会社担当者(加害者)代理人の場合
  保険会社担当者が、@ABCDまで位の金額で、例えば100万円と提案する。
(3) 被害者代理人弁護士と保険会社担当者(加害者)の場合
  不思議なことに、保険会社の提案金額は、例えば200万円に上る。
(4) 被害者代理人弁護士が@〜I全部をひっくるめて、例えば600万円と提案すると、保険会社が500万円で解決しようと言って来たので、500万円で示談した例があります。
 
 何故、保険会社は、500万円で示談に応じたのかは、常に判決ならいくら位になるかを計算し、保険会社側の弁護士費用も考えて、500万円なら訴訟で負けるよりも得だと考えるからではないでしょうか。
交通事故の場合は、@〜Hまでの損害金で、判決で認められた分の1割程を負けた方が勝った方の弁護士費用負担ということが認められます。また、最近では、被害者が加入している保険に、被害者が訴訟する時の弁護士費用が出ることになっている場合が多いのです。ですから、交通事故被害者は安易に示談せず、絶対に弁護士に依頼するのが有利なのです。

弁護士  加 地   和


(2008.07.17)
■ 生涯一弁護士(1)(暑中見舞)     

   今夏は、知り合いの皆様に次のような暑中見舞を御送りしました。このホームページを御覧の皆様にはハガキは行きませんが、よろしく御願いします。


 
暑中御見舞申し上げます
   御一家の皆様の益々の御多幸を祈ります
     平成20年盛夏
                    弁護士 加 地 和
弁護士 政次秀夫

 弁護士加地は次のサムエル・ウルマンの青春の詩に元気づけられて仕事に励んでいます。
「青春とは臆病さを退ける勇気、
 安きにつく気持を振り捨てる冒険心を意味する。
 ときには、20歳の青春よりも60歳の人に青春がある。
 年を重ねただけで人は老いない。
 理想を失うとき初めて老いる。
 歳月は皮膚にしわを増すが、情熱を失えば心はしぼむ。
 苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥(あくた)になる。」
            

 

弁護士  加 地   和


(2008.07.17)
■ 生涯一弁護士(2)(絶望的な事件の依頼を受けたとき)    
 

 依頼者から1時間か2時間、くわしく事件内容を聞きますと、その事件で依頼者が勝つのか負けるのかは大体8割は見通しが立ちます。依頼者が負ける見通しの時は、事件を引受けることを断ります。
 しかし、依頼者にも言分があって、判決までに和解で、依頼者の言分も3割程認められて、相手方の請求金額を3割程減らした和解が成立する時もあります。
 最近、依頼者(A)は呉服卸業を営んでいたが、Aは友人(呉服業B)が銀行(C)借入をするのに保証人になった。Bは、他から不渡手形を食らって倒産し、全部で2億円程の借金が残った。Aの保証債務は5000万円であり、C銀行は、Aに対する債権をD(サービサー・債権回収屋)に売った。売った値はわからないが、低い金額であろう。Cは5000万円の不良債権を処理したことになり、また、5000万円に近い損金処理が出来、法人税は軽くなったと思われる。
 DからAに対し、執拗に5000万円を支払えとの請求があった。Aは、昔は豊かであったが、その他の借金返済もしたので、無一文に近かった。もちろん、Aは自己破産申立をして、債務の免責決定を得れば、一銭も返さなくてもよい。しかし、Aにもプライドがあるので、出来るだけ自己破産以外の方法で解決を図った。
 弁護士加地(A代理人)は、Dに対し、50万円での示談を申し入れた。Dが50万円を承知しなければ、自己破産して、免責決定が出れば、Dは一銭も取れませんよと迫った。Dの担当者は「50万円は何ぼ何でもひどすぎます」と言った。その後、Aに金を貸してくれる親戚もあり、結局、AはDに300万円を支払うだけで、その余の4700万円の債務は免除されました。
 これは、訴訟に勝つか負けるか以外に、どうしたら、依頼者の立場を粘り強く考えて交渉したので成功した例です。

弁護士  加 地   和


(2008.07.17)
■ 生涯一弁護士(3)(弁護士にとって一番こわいのは依頼者)    

  民事事件の場合、原告(A)・原告代理人、被告(B)・被告代理人、裁判官が主な登場人物です。
 例えば、私が、Bの被告代理人であって、AがBに対し、離婚請求訴訟をして来た場合、結局、最終的には裁判官が、A・Bの言分、その言分を裏付ける証拠によって裁判官が判決を下します。私が、Bの言うことが少しおかしいのではないかと思うときは、Bをたしなめますが、それでもBが言分を変えないときは、その通り、Aや裁判官に対し、口頭または書面で言います。もし、私が適当にBの言分を修正して主張し、判決でBが負けたときに、Bは私に対し、弁護士会へ懲戒申立や損害賠償を請求しかねません。こんなことにならないように、常に、依頼者の言分は、弁護士がよく聞き、説明をし、相互の信頼関係を作っておく必要があります。
 また、事件が依頼者のために良い結果になったときは、依頼者に報酬を支払ってもらわねばなりません。支払ってくれても、感謝しないで、弁護士に取られたという印象が残るときは、弁護士も悲しいですね。弁護士にとって依頼者は王様です。依頼者の言分が無茶苦茶なときは着手金からそれまでに要した費用を差引いて返還し、事件を辞任するしか仕方がありません。    

弁護士  加 地   和



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